【出典】『南史・張融伝』
【意味】他人の垣根の下に寄り添うこと。他人に頼って生活することをたとえる。
【歴史典故】
張融（ちょう ゆう）は南朝の人で、容貌は並だが、才知が並外れ、詩文や書画に通じ、とりわけ狂草に優れていた。彼の作品は定型にとらわれず、独自の風格を確立していた。人となりは清廉で俗世を超越しており、真の才覚と洞察力を持つ者とのみ交わった。そうでなければ、王侯貴族であっても眼中に置かなかった。南朝の皇帝・蕭道成（しょう どうせい）は前王朝で太尉を務めていた時から張融を高く評価していた。蕭道成は武略に精通し、文才も優れていたため、張融の尊敬を勝ち得、二人は良き友となった。蕭道成が南斉政権を築き皇帝となった後も、二人は頻繁に文学や芸術に関する問題を話し合っていた。
ある日、二人は再び書道について語り合った。数人の著名な書家たちの特徴を評価した後、皇帝は張融の書道についてこう評した。「あなたの書は風骨に富んでいるが、まだ二王（王羲之・王献之）の法度が足りないな。」張融は笑って答えた。「陛下は張融が二王の法度を欠いていることには気づいていますが、二王が張融の法度を欠いていることには気づいていませんね。」皇帝は内心驚き、その後張融を指して笑いながら言った。「君の口からでなければ、こんな奇妙な言葉は出てこないだろう。よし、その理由を言ってみよ。」張融は言った。「男たるものは天地の間に立つもの、孔子が『詩経』『書経』を編纂し、『礼記』『楽記』を制定したように、新しい道を開き、独自のスタイルを創り出すべきです。作品には自分だけの唯一無二の風格と法度が必要です。どうして古くからの習慣を踏襲し、他人の受け売りをして、他人の屋根の下に寄り添うようなことがあってよいでしょうか？二王の法度を吸収していないわけではありません。すでに私の法度に転化しました。残念なのは、二王が私の法度を吸収してさらに転化できないことです。」皇帝はこれを聞き、うなずいて感心せずにはいられなかった。
【成長への教訓】
張融は先人の模倣をせず、独自の書道スタイルを追求したことで、広く称賛された。青少年にとって、自立を学び、依存心を捨てることが重要である。確かに、依存心は誰にでもあるものであり、誰一人として全く他人に頼らずに生きることは不可能である。また、他人を尊重し、他人の意見を聞くことも当然のことである。しかし、何事にも主見がなく、すべて他人に頼らなければならないようでは注意が必要である。人生という長い旅路において、他人に頼るだけでは不十分である。
依存心を捨て、自立の勇気を奮い起こし、他人への過度な依存という誤りから抜け出し、自らの責任で自分の仕事をしっかりこなし、労働の成果を享受し、自分の役割を果たし、自分自身の主人となること。それこそが、真の生活の強者なのである。
「他人の屋根の下に寄り添う：自立を学び、依存心を捨てよ」