【成語】：作法自斃（さほうじへい、zuò fǎ zì bì）
【意味】：自ら定めた法律や規則が、かえって自分自身を害すること。広く言えば、自業自得を指す。
【故事】：商鞅（しょうおう）が改革を推し進めた際、まず貴族の特権を廃止し、軍功の大きさに応じて爵位を再び授けることを規定した。これにより、貴族たちは功績なくして報酬を得る特権を失い、商鞅に対して非常に不満を抱いた。しかし商鞅には秦の孝公（こうこう）の支持があったため、貴族たちは恨みを胸に秘めつつも、どうすることもできなかった。秦国はこの改革を経て、たちまち強盛となり、生産性が大幅に向上し、国庫は充実し、将兵は勇敢に戦い、六国を震撼させるほどの威勢を示した。商鞅は改革の功績により、商の地十五邑を封じられ、「商君」と号し、以来、人々は公孫鞅を商鞅と呼ぶようになった。
改革の過程で、太子の師が法律に違反した。貴族や朝廷の臣たちはこの出来事を幸災的に捉え、商鞅がこの厄介な難題をどう解決するかを冷ややかに見守っていた。商鞅は新しい法を確実に施行するために、孝公に伺いを立て、法律に従って厳しくも公正な処分を下した。太子は師のために嘆願したが、効果はなく、太子は商鞅に対して深く恨みを抱くようになり、彼を排除することを強く望むようになった。
孝公が在位二十二年で崩御し、太子が後を継いで王位についた。歴史的には恵文王（けぶんおう）と呼ばれる。貴族たちは恵文王が商鞅を憎んでいることを知ると、次々と風評を流し、中には商鞅が反乱を企んでいるとまで偽告する者も現れた。恵文王は商鞅が反乱を企てる動機もなければ、その可能性もないことを十分に理解していたが、ただ怒りを晴らすために、商鞅の逮捕を命じた。
商鞅は孝公の死後、自らの後ろ盾を失ったことを自覚し、都に長く留まることをためらって、自分の封地へと戻った。彼は自分が反乱を企んでいると誣告されたという噂を耳にすると、いずれ殺身の禍に遭うことは避けられないと悟り、単身で家を抜け出して、他国へ逃れ、災いを避けようとした。空は次第に暗くなり、寒鸦が夕日の余光を背に、群れをなして林へ帰っていった。商鞅は急いで秦の国境を逃れようとしたが、足早に歩みを進め、関所に着いたところ、関所を守る兵士に止められ、「商君の命令により、黄昏以降は公務でなければ城外へ出ることは許されない」と告げられた。商鞅は初めて宿を取らなければならないことに気づいた。彼は旅館に赴き、宿泊を頼んだ。主人が出てきて言った。「客人であればもちろん歓迎いたしますが、お名前をお聞かせください。身分がわからなければ、私は首を刎ねられてしまいます。これは商君の法令であり、違反してはなりません。」商鞅は当然ながら自分の身分を明かすことはできず、宿屋を出て、空を仰いで嘆いた。「これこそがまさに『作法自斃』というものだ！」
後に商鞅は車裂（しゃれつ）の刑で処刑された。この刑罰は極めて残酷で、五台の車に罪人の頭と四肢をそれぞれ縄で縛り、馬を走らせて人間を生きたまま五つに引き裂くもので、聞くに堪えないほどの惨状であった。
恵文王は商鞅を殺したが、彼の政策は引き続き実行した。その結果、秦国はますます強盛となり、嬴政（えいせい）による六国統一に、経済的・軍事的な基盤を築くこととなった。