とても昔々、その年はひどい干ばつで、森の中の小川は干上がり、湧き水も枯れ果て、動物たちは飲む水が見つからず、ひどく苦しんでいた。
ある日、こぐまやうさぎ、こじしといった動物たちが大きな木の下に集まり、どうやって水を手に入れるか相談していた。すると突然、大木が口を開いた。「子どもたちよ、私の根元の下に井戸を掘れば、水が湧いてくるよ。」
「それでは、すぐに始めましょう!」こうして井戸掘りが始まった。他の動物たちもこの知らせを聞くと、みな一斉に作業に加わった。人が多すぎてうまく働けないため、きつねが十人一組になり、一日交代で順番に働くよう提案した。
雄鶏と子犬は同じグループになった。その日、彼らの番で井戸を掘ることになったが、雄鶏は一日中働いて腰も痛くなり、体中がだるくなった。「ああ、疲れたな!」彼は独り言を言った。「今回はまだ我慢できるけど、次からは何かいい方法を考えないと。」
二度目の作業の日、また雄鶏たちのグループの番になったが、雄鶏は行きたくなかったので、子犬に「頭が痛くて、全身に力が入らない」と言い訳した。夕方近く、仕事を終えた子犬は、「病気」の雄鶏が心配になり、彼の家を訪ねた。すると、雄鶏は元気に遊びまわっており、少しも病んでいる様子はなかった!子犬は事情を察し、少し不満を感じた。
動物たちは疲れを顧みず、力を合わせて協力したため、井戸はどんどん深くなっていった。
またしても雄鶏たちのグループの番になった日、雄鶏はもう病気だと嘘をつくのも恥ずかしくなり、しかたなく井戸のそばへ行った。「あっ、足をひねっちゃった、痛い痛い!」と、雄鶏は足をもみながら、演技をして痛がり続けた。「ひどく痛むの?」山羊のこどもが心配そうに尋ねた。「大丈夫、気にしないで。」「それじゃ、下には降りなくていいよ。上で休んでいて。」と山羊のこどもが言った。
子犬だけが雄鶏の本心を知っていた。井戸の中で、彼は皆に雄鶏が怠けていたことを話した。「信じられないなら、上に行って確かめてみなよ。雄鶏の足なんか、ぜんぜん痛くないはずだよ。」うさぎは半信半疑で上まで登って覗いてみると、ほんとうに雄鶏は足を広げてバッタを追いかけているではないか。みんな、雄鶏に対して不満を抱いた。「水が出たら、あの怠け者には飲ませない!」と、子犬は怒った。
ついに井戸から水が湧き出した。動物たちは喜びのあまり飛び跳ね、甘い井戸の水をガブガブと飲み干した。ここ数日の疲れはすべて消え去った。
雄鶏も寄って来て、さあ水を飲もうとしたそのとき、子犬が言った。「あなたが水を飲む顔があるの?」雄鶏はそれを聞いて、真っ赤になって逃げていった。
しかし、のどの渇きは本当に辛かった。しばらくして、雄鶏は我慢できずまた戻ってきた。周りに動物たちがいないのを見て、急いで井戸のそばに這いつくばり、水を飲み始めた。他人に気づかれるのが怖くて、一口飲むたびに頭を上げ、周囲を見回した。まるで泥棒のような様子だった。
それ以来、今でも雄鶏は同じように水を飲む。一口飲んで、頭を上げて周囲を見る。