これは私たちの地域で実際に起きた話で、高校の同級生から聞いたものです。
彼女の家の近くに小さなレストランがあり、もともとは夫婦で経営していました。しかし、客足がよくて忙しくなってきたため、人手が足りなくなり、東北地方出身の女性のウェイターを雇いました。彼女はここで働きに来ており、夫は故郷で農業を営んでいました。この女性は非常に能幹で、店内外をきっちりと整理整頓し、店主の妻はたちまち暇になったため、店に常駐するのをやめ、よく外出して麻雀やカード遊びをするようになりました。
客がいないとき、店にはオーナー(兼シェフ)とこの東北出身の女性だけが残されるようになり、自然と二人は関係を持つようになりました。この関係は、およそ半月ほど続きました。
ある日、奇妙な不審者が突然店に乱入しました。彼は腰に「二踢脚(ニーティージャオ)」という強力な爆竹を一周巻き、背中には長い爆竹の連なりを縄でがんじがらめに縛り付け、手にはライターを持ち、自爆覚悟の勢いで店に突入したのです。
客たちはみな呆然としました(おそらく当時は爆竹を売る人だと思ったでしょう……)。彼は大声で泣き叫び、オーナーが自分の妻を奪った、もう生きる気力がない、などと訴え始めました。オーナーもキッチンから出てきて、この騒動を傍観していました。もちろん、この男は東北出身のウェイターの夫でした。そして、この一連の芝居の目的は、ただオーナーから金をせしめるためだったのです。
オーナーは馬鹿ではありません。すぐに男に座るよう促し、金の話を持ちかけました。男はすぐさま泣きやみ、座ってタバコを一本吸いながら、ゆっくりと交渉を始めました。
話し合いが一応まとまり、男もある程度満足した様子でした。ちょうどタバコを吸い終え、ふと床にタバコの吸い殻を投げ捨てました。しかし、座った姿勢のせいで、背中に縛られた爆竹の導火線が床に垂れ下がっており、その吸い殻が導火線に落ち、火がついてしまったのです。たちまち爆竹が爆発し、男の悲鳴が響き渡りました。周囲の人は急いで水を取りに行き、男もあわてて背中の爆竹を外そうとしましたが、火花が腰の「二踢脚」の導火線に引火。次々と大きな爆発音が響き、人々は恐怖のあまり店の外へ逃げ出しました……
現場は極度の混乱に陥りました。唯一、人々の記憶に強く残ったのは、爆竹の轟音と、事件後に電線にぶら下がっていた小さな腸の一部でした。