ことわざの物語

一諾千金

秦の末年、楚の地に季布(きふ)という人物がいた。彼は性情が正直で、義侠心にあふれ、助けることを好んだ。一度約束したことは、どんなに困難なことでも必ず実行しようと努力したため、人々から広く称賛されていた。 楚漢の争いの際、季布は項羽(こうう)の部下として、何度か策を講じ、劉邦(りゅうほう)の軍隊に敗北を味わわせた。項羽が敗れた後、季布は一人で包囲を突破し、天涯をさまよう生活を始めた。皇帝となった劉邦はこのことを思い出すたびに怒り心頭に発し、季布を捕らえるよう通達を出した。

米を背負って親を養う

子路(しろ)は、春秋時代末期の魯国人である。孔子の弟子の中では政治の才で知られ、孔子の得意弟子であり、性格は率直で勇敢、また非常に孝行であった。しかし子路が幼い頃、家はとても貧しく、長年にわたり粗末な穀物や野菜などで暮らしていた。ある時、年老いた両親がご飯を食べたいと言い出したが、家には米が一粒もなかった。どうすればよいのか?子路は、いくつかの山を越えて親戚の家から米を借りてくれば、両親の願いを叶えられるのではないかと考えた。そこで、小さな子路は山を越え谷を越え十数里の道のりを歩き、親戚の家から小さな袋に入った米を背負って帰ってきた。両親が香ばしいご飯を食べるのを見て、子路は疲れを忘れてしまった。近所の人々は皆、子路を勇敢で孝行な良い子だと称賛した。

百尺竿頭

宋の時代、長沙には景岑(けいしん)という高僧がおり、号は招賢大師(しょうけんたいし)といった。彼は仏学の造詣が深く、常に各地を巡って説法や経典の講義を行っていた。大師の講義は奥深くもありながらわかりやすく、語り口は生き生きとしていて感動的であり、聴衆はいつも深く感銘を受けていた。