ある時、二人の子供が家から果物や乳製品を盗み出し、野外で遊びに行った。当時、食物を保存する方法はなく、残った食べ物が日差しの下で傷んでいくのを、二人はただ見守るしかなかった。
その後、二人は中学校に進学しても変わらず親友だった。ある日、凍った湖畔を歩いていると、トゥードという名の少年が突然言った。「昔、家から物を盗んで食べて遊んだこと、覚えてる?」もう一人の少年は「もちろん覚えてるよ。残った食べ物が全部ダメになっちゃったのが残念だったな」と答えた。トゥードは湖を指して「あの氷、見える?」と尋ねた。「ここは冬になるとどこにでも氷があるよ。何がそんなに特別なの?」と相手が言うと、トゥードは興奮して言った。「どうしてこの氷を集めて、暑いカリブ海の港に運んで売ってみない?」「馬鹿言わないでよ。そんなところまで運んだら、とっくに水になっちゃうよ!」と友人は笑った。しかしトゥードの目は、依然として湖面の氷に釘付けになっていた。
数年後、1806年、21歳になったトゥードは、かつての友人に再び会い、一緒に氷のビジネスをしようとした。しかし友人は再び断り、現実離れした夢を見るのはやめるよう忠告した。その後、他人の支援を受けて、トゥードは1万ドルをかけて130トンの氷を船で灼熱のマルティニーク島へ運んだ。
それから15年間、トゥードは氷のビジネスを世界中に広げ、船が到達できる地域すべてで、人々が求める冷たい飲み物、氷で保存した果物、冷蔵肉のニーズを満たした。
1858年になると、トゥードは15万トンの氷を380隻の大型船に積み、アメリカ、中国、フィリピン、オーストラリアなど50カ国以上の国や地域に運んだ。こうしてトゥードは「世界の氷王」として、億万長者となった。さらに大きな貢献は、その後、科学者たちが彼の取り組みから着想を得て、冷蔵庫を発明したことである。
一方、かつてトゥードを嘲笑った友人は、ずっと平凡な人生を送り続けた。なぜなら、氷は熱で溶けるものの、その価値が発揮されるのは、むしろ暑い場所であるということに、気づかなかったからである。